Ableton Meetup Tokyo Vol.62 【Getting Your Sounds Dirty】レポブログ『音を汚すとは密度を変えること』編

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AbletonMeetupTokyo

音をキレイにRecするために、マイクやオーディオI/Oなどの機材は日々進化しています。
では、なぜわざわざ音を汚すのでしょう?
その質問に対する1つの答えとなるのが、この回です。
自身の音楽制作のプラスに、必ずなると思います。

Ableton Meetup Tokyoとは【Abletonユーザーを横断するコミュニティーの構築】を目的に隔月で開催されているイベント。
簡単に言うなら【Ableton Liveユーザー同士、仲良くなろうよ】と言う趣旨・・・ではあるものの、イベントの面白さが噂になったのかAbleton Live以外のDAWユーザーが参加することもよくある話。
オーガナイザーのKOYASさん曰く【大人の部活動】。
ちなみに、このレポを書いてる僕(akim)も2018年にAbleton Certified Trainerになりました。

『Ableton Meetup Tokyo(略称 AMT)って、いったいなんなの??』という方、まずは過去のAMTレポートをお読みください。
Ableton Liveユーザーのみならず、音楽制作に関わっているのであれば興味出ること間違いなし。

Ableton Live講座動画のアプリ作りました。

前置き

Ableton?

今までのAbleton Meetup Tokyoもお読みいただくとして、まずは基礎知識。

Ableton】とは【Live】というDAW(音楽制作ソフト)や【Push】や【Move】というハードウェア(というか楽器)、【Note】という音楽スケッチ用iOSアプリを作っているメーカーです。
直感的な操作が可能で楽器のように扱うことも出来るので、世界中のTrack makerやDJ/パフォーマーなどに愛用されてます。
その中でも、Abletonに知識・技能を認められた方々をAbleton Certified Trainer(Ableton認定トレーナー)と呼びます(自分で言うの、ちょっと恥ずかしいけどw)。

Ableton Meetup Tokyo

Ableton Meetup Tokyo(略称AMT)とは

が共同オーガナイズしているイベントです。

イベントの目的はAbletonユーザーを横断するコミュニティーの構築です。
簡単に言うと【Abletonユーザー同士、友達になろうよ】的な。
公式サイト公式Facebookページもチェック!

Getting Your Sounds Dirty

2025年7月21日(海の日)、六本木CUBEでは【Ableton Meetup Tokyo Vol.62】でした。

今回の登壇者やDJ、司会やTopicsのご紹介から。
登壇者の紹介は登壇順、またはDJの出番順です。

登壇者

comm

Kazuki Noguchi

宮川 智希 / Tomoki Miyakawa (Ableton認定トレーナー)

DJ

HANAYA

Techno DJ/トラックメイカー。

渋谷・下北沢・秋葉原など首都圏を拠点に活動。古き良きテクノを思わせる選曲と、飾らないシンプルなミックスで、流行に流されない硬派な音を貫く。

Tokyo Beer Labの配信では再生数上位を記録。Ableton Liveを使用した楽曲制作にも取り組み、自主主催の「Ableton黙々会」では制作の楽しさと場づくりを共有。アートワークも自ら手がけるなど、音とビジュアルの両面で独自の世界観を発信している

「ジェイ、エム、スリー、よし」は、兵庫県神戸市に生まれ、10歳から柔道を始め、大阪で建築を学ぶ。

音楽とは無縁の人生に2021年夏、渋谷・道玄坂の花壇で寛いでいたところにDJさんから声を掛けられたことがきっかけで還暦を目前に人生初のクラブへ。

そのDJさんに素晴らしい音楽仲間を次々と紹介されて、House,Techno,Psychedelicなど幅広いジャンルを聴き、Open Air party MATRICARIA-LABをはじめとするRaveを愛し、2022年6月にDJを学び始めた。

人柄がそのまま出るのが落語。落語は、「演目」ではなく、「演者」「人柄」を聴きに行く芸能。DJにも落語と似た面があると考え、「楽曲」と合わせて、「人柄」を聴きに来てもらえるDJを目指し、2022年11月20日に初DJを演じた。

合わせて、DJ中に手話であいさつをする試みを始め「求心の焦点、発信の原点」として音を楽しませてくれる。

選曲のジャンルは、時季、時機、時期を大切にして、起・承・転・結でメリハリのある構成となっている。

「時季」は、そのことが盛んに行われる季節。

「時機」は、何かをするのに最も良い時。

「時期」は、まさにその時。

DJを始めて間もなく、作曲にも関心を抱き、Ableton Meetup Tokyoに出逢い、学を始めたところ。あわせて、年齢や活動場所に関係なく演じられる配信によるDJやclusterでのイベントにも興味を拡げている。

配信活動は、Fearless Recordings Found & Ownerなど数多くの活動をしている同郷神戸出身のLuNaさんと出逢い、2024年8月にMELODIC JOURNEYS53で共演し、MIXCLOUDのChartで1st ambient technoに輝いた。また、1999年に設立されたDI.FM (アメリカからクラブミュージックを発信しているインターネットラジオ局す"Digitally Imported" )で番組ディレクターであるLuNaさんと2025年5月にELYSION EPISODE23で再び共演し、MIXCLOUDのChartで2nd ambient technoに輝いた。

映像配信として、日本の流行の中心地である原宿を拠点にTokyo Beer Labの醸造所内で行なわれるDJライブやThe Brewcastに2024年9月、音友のKaori Wattと共演し、世界配信されている。

少年のような好奇心を抱き続けるDJから「誰もが持つ無限の可能性」を伝える音浴をみなさんも楽しんでみてはいかがでしょうか。

趣味・特技は、山歩き、温泉巡り、モールス信号で世界中と交信するハム

(第二級アマチュア無線技士JM3OCI)、英検2級、講道館柔道参段。

職歴は、一級建築士、宅地建物取引士の資格を持ち、 建築設計、建築施工管理、建築営業、経営企画、社長秘書、人事労務管理に携わり、現在も現役活動中。

Jm3Yociはいつも自然体で、「今しかできないこと、今からできること」、「始めること、続けること、楽しむこと」。

司会

司会はVol.61に引き続きこのお2人。

KOYASは東京を拠点に活動しているアーティスト/プロデューサー/DJであり、東京のAbletonユーザーコミュニティー=Ableton Meetup Tokyoや、エレクトロニックなライブ・パフォーマンスにフォーカスしたレーベルpsymaticsを運営している。

彼はDJ Yogurtと共同で音楽プロデュースを開始し、アンビエントやテクノのアルバムをリリースして、曽我部恵一BAND、奇妙礼太郎、ケンイシイ等のリミックスも手がけた。

その後、彼は自身のレーベルpsymaticsは2013年に設立。翌年にはCD HATA (Dachambo)との即興演奏をベースにしたエレクトロニック作品を発表。現在では彼が他のアーティストとのコラボレーションした音源シリーズをリリースしている。

Ableton Liveはバージョン3からのユーザーであり、その音楽制作やレーベル運営に関する知識を活かし、雑誌やウェブ媒体に記事も寄稿。Live 12、Push 3、Move、NoteといったAbleton製品のローカライズも手がけている。

彼は2015年から東京のAbletonユーザーコミュニティー=Ableton Meetup Tokyoを立ち上げ、定期的にイベントを開催。大規模なカンファレンスから野外パーティーまでさまざまな現場に関わっている。

DIEZONE

BLACKSHIP(SUNNY)のソロ名義

2012年にIBIZAツアー、2014年BIACKSHIPでPACHA出演、2018、2020年シーズンのDOMMUNEの初のレギュラープログラム「COCALERO presents HIGH LIFE」のメインMC、2019年瀬戸内国際芸術祭に同プログラムの作品として参加。

2015年から始まった野外フェスZIPANGではBANANAツアーと協力し、会場直行バスのガイド兼車内DJとして車内パーティを開催。2021年にはオリジナルトラックもリリース、J-POPのMASHUPも発表。2025年Ableton Meatup TokyoのMCも7年目を迎える。

Topics

今回のTopicsは【Ableton Meetup Shonan】の告知をさせていただきました。
オーガナイザーは、湘南在住で5弦BassistでAbleton認定トレーナーのakimです。
(つまり、僕です)

音楽好きが多い印象がある湘南エリア。
藤沢駅前を歩くと楽器を背負ってる10代も多いし、JazzバーやDJバーも街の規模に対して多くあります。

では、音楽カルチャーが育つ環境なのかと言うと、そうではない一面もあったりします。
新宿、渋谷、下北沢、横浜など音楽カルチャーが根付いている街までそこまで遠くないので、バンドやDJはそっちまで出かけていってしまうという話も…。

もちろん出かけていくのが悪い訳じゃないです。
が、もう少し音楽カルチャーを湘南エリアで盛り上げたい・湘南エリアに根付かせたいという思いで立ち上げたのが【Ableton Meetup Shonan】です。

Topicsで告知した回はすでに終了してますが、Webメディアでも取り上げていただきました。

【藤沢 イベントレポ】Ableton Meetup Shonan “For Starter” - 初心者向け楽曲制作体験イベント | 湘南人
「パソコンで曲を作ってみたいけど何から始めればいいかわからない」「DAWソフトを購入したけど、独学するのは大変そう」「楽器はできないけど作曲…

さらに、Ableton Meetup Shonanでのフィードバックを受けて【寄り道カルチャークラブ】という企画もスタートします。
詳しくはリンク先などをご覧いただきたいんですが、簡単にいうと【会社帰りに、自分の世界を広げる時間を少し持ちませんか?】というのがコンセプト。
akimの【DTMお悩み相談室】の他に、英語やDJ、書道なども学べます。
(回により、内容が異なります)

場所は、Ableton Meetup Shonanでもakimのワークショップでもお世話になっている【THE REF.】。
気になる方は【毎月第4火曜日19:00〜22:00】にTHE REF.までお越しを。

Instagram

Touch & Try

今回のTouch & Tryは【NOVATION Launch Control XL3】。

今までとの大きな違いは、KOYASさんによると

  • MIDI端子が追加
  • グルーヴボックスに直接接続して、その内部のコントロールが操作可能

とのこと。

そして、プラグアンドプレイでPushでもLiveでもすぐ使えるというのが嬉しいよね。
NOVATIONのこういうところ、好きです。

シンプルで操作しやすいデザインと、プラスアルファの操作でより細かいアサイン方法などが可能となるUIは、ホントによくできてるな〜というのがakimの感想。
そう思ったのはakimだけじゃないようで、みんな触りまくり。

8つの60mmフェーダー、24個のエンドレスロータリーエンコーダー、16個のカスタマイズ可能なボタンで、ワークフロー全体を実際に体験できます。 Launch Control XLの最新バージョンは、プラグインと外部ギアの直感的なカスタムマッピングとともに、箱から出してすぐにすべての主要なDAWを包括的に制御できます
Launch Control XL
Launch Control XL 3 gives you hands-on control of all major DAWs, software synths, effects, and external hardware.

倍音とは??

諸々の紹介が終わったので通常ならここから本編なんですが、その前に。

今回のAMTでは何度も【倍音】という言葉が出てきました。
倍音の基礎知識が無いと訳がわからない話になると思うので、少しお話ししておきますね。

倍音とは、周波数を倍にした音

まずは基本中の基本から。
倍音とは【周波数を倍にした音】です。

例えば【A=440Hz】を元にして考えてみましょう。
この音のオクターブ上は、周波数が倍になった880Hzです。
さらにその上は、元の3倍の1320Hz。
さらにその上は、4倍の1760Hz…と続きます。

元の音を【基音(または1次倍音)】と呼びます。
2倍の音は【第2倍音(または2次倍音)】、3倍の音は【第3倍音(または3次倍音)】と呼びます。
n倍にしたら【第n倍音(またはn次倍音)】と呼ぶ、と覚えてください。

倍音が音の味

倍音がどういう効果を与えるのかというと。

同じ【A】であっても、ピアノやGtやBa、その他の楽器の音と聴き分けが付きますよね?
逆に、倍音が含まれてないような音、たとえばSine波で生み出す『プーッ』という音は味気ないもんです。

『プーッ』をLiveで出すなら、たとえば環境設定のテストトーンとか。

デフォルトのDriftを入れて、以下の画像を参考に3ヶ所のパラメータを設定することでも『プーッ』という音を出せるようになります。

こういう『プーッ』という音を聴くと、ピアノやGt、Baなど楽器の音って味があるのがわかりますよね?
これが倍音を含んでいるか否かの1つの目安です。

音を汚すとは、倍音を増やすこと

プレゼンターが『音を汚す』と表現してますが、これは『倍音を増やすこと』と読み替えてください。
上に書いた通り、倍音を増やすことによって音に味が出てくるわけですね。

倍音が味の理由

では『そもそも倍音が味になる理由とは』ですよね。

最初の【A=440Hz】に戻りましょう。
第2倍音の【880Hz】は【A】なんですが、第3倍音の【1320Hz】はほぼ【E】なんです。

【A=440Hz】の第8倍音まで表にしてみると

基音第2倍音第3倍音第4倍音第5倍音第6倍音第7倍音第8倍音
周波数440Hz880Hz1320Hz1760Hz2200Hz2640Hz3080Hz3520Hz
ピッチAAEAC#EGA

という感じになります。

つまり、Aを鳴らすとE ,C#,E,Gという音も同時に鳴ってるということです。
この倍音の混ざり具合が楽器それぞれの音を作り上げてるんですね。
耳には『A』と聴こえていても倍音の混ざり具合はわかるなんて、人間の耳は良くできてますね。

ただし。
1320Hzは『ほぼE』と書きましたが、A=440Hzの平均律で計算すると1318HzがEの周波数だからです。
なので『ほぼE』という言い方をしてます。

第5、第6、第7倍音も同様に計算上の値とは少しズレてます。
一覧にすると

 第5倍音第6倍音第7倍音
周波数2200Hz2640Hz3080Hz
ピッチC#EG
計算上の周波数221726373135

と、なります。

細かいところですが、無視できないところなので書いておきますね。

倍音が知りたいなら、どうぞ

倍音の勉強をしてる時に『周波数の一覧表とにらめっこするのは面倒』と思ったんですよね。
なので、倍音を表示するデバイスを作りました。
M4Lの勉強の意味もあったので、中身はあまりキレイではないですけど…

使ってみたかったら、ダウンロードしてどうぞ。
MIDIエフェクト扱いなのでMIDIトラックに入れてください。
その後、MIDIキーボードでもPushでもいいのでMIDIノートを入力すれば倍音が表示されます。

周波数がある程度以上の数値になると、計算結果の周波数やピッチは表示されません。
(G8が最高だったかな??)

学習用としてお使いください。
ただし、著作権は放棄してないので無許可での販売などはしないでください。
詳しくはリンク先の【著作権と免責事項】をお読みください。

さて、これらを踏まえてもらった上で本編にいきましょうか。

comm 「ルールのないBass作り」

まず、お名前の読みは『コム』だそうです。
そしてこのcommさん、かなりの感覚派のようで『いい感じで〜〜』という表現がよく出てきました。
非常にクリエイティブな捉え方で俺は好きです笑
『いい感じで』を理屈で説明するのは難しいですが、俺もAbleton認定トレーナーなので補足を頑張ってみますね。

commは東京を拠点に活動するプロデューサー/DJである。

ダブステップ、レフトフィールドベース、テクノにインスパイアされ、独特のエスニックなリズムとメロディーを表現し、カルト的な雰囲気を作り出す。そのサウンドとプレイスタイルで、リスナーを未知で中毒性のある空間へと導く。Re:birthやIncubus Campなど多数のイベントへ出演している。

comm is a Producer / DJ based in Tokyo.

Inspired by Dubstep, Leftfield Bass, and Techno, comm expresses unique oriental rhythm and melodies, that draws listeners in to a ritualistic atmosphere.

With her distinctive sounds and play style, comm aims to guide listeners to an unknown but addictive space, one has never been to before

汚いのに気持ちいい音

『普段、サウンドデザインから曲作りすることが多いのだが、その時に使うRackを使いながら、汚いのに気持ちいい音をご紹介』という前置きでプレゼンが開始。
アレンジメントビューを使います。

commさんはInstrument Rackにインストゥルメントやエフェクト類をまとめておくそうです。
そのRackのMacroに、すべてのデバイスのDry/Wetをマッピングしておく、と。
それを普段は使ってるそうなんですが、中身を公開してくれました。

このプレゼンの核となる【Rack】については以下を参考にしてみてください。

汚していく

commさんがRackの中身を細かく説明してくれたので、それを手本として汚してみましょう。
準備として【Instrument Rack】を空のMIDIトラックに入れてください。

OperatorやWavetableをそのRackに入れ、空のMIDIクリップを作ります。
そのMIDIクリップに、Keyに合った音を置いていきます。
commさんはOperatorを入れてました。

その後ろにオーディオエフェクトのAmpを入れ、さらにCabinetを入れます。
もちろん、同じRack内に、です。
この2つでスピーカーから出る感じ、いわゆる生音感を加えます。

補足

AmpとCabinetというと『GtやBaに使うもの』という固定観念を持ってる方も少なからずいるようなんですが、エフェクトなんだから好きなように使っていいんです。
アンプラグドが基本の楽器、たとえば琴とか三味線に使うのだってアリですよ。

その次にSaturatorを入れます。
滑らかに、いい感じで倍音を加えてくれます。

補足

アンプなどに過大入力すると音が歪む現象を利用したエフェクトです。

さらに、Shifterを。
いい感じで音を壊してくれます。

補足

【Shifter】は、簡単に言うと【入力された音にピッチや周波数、LFOなどで変調を加えて音を変えるエフェクト】です。

次に、Vinyl Distortion。
ヴァイナル感(レコードのザラつき)を加えてくれます。

補足

ヴァイナル(ビニール)とは、レコードのことです。
Vinyl Distortionがどんなエフェクトかと問われれば【アナログレコードが持つ温かみや深みを与えてくれるエフェクト】となります。

次に、Multiband Dynamics。
このオーディオエフェクトは、Hi / Mid / LowもMacroにマッピングします。

補足

Multiband Dynamicsとは帯域ごとにコンプをかけられるエフェクトです。

お次はOTT。
『OTT』という名のプラグインもありますが、ここで使うのはMultiband Dynamicsのプリセットです。
元々Multiband Dynamicsのプリセットで、このプリセットの出来がいいので単体のプラグインとして作られたという話を聞いたことがあります。
このプリセットは、ここまで作った『汚さ』を前面に押し出してくれます。

さらにRedux。
ビット数、例えるなら音の解像度を落とすエフェクトです。
Rateを下げると解像度が下がっていきます。

補足

最初に書いた通り、各デバイスのDry/WetをMacroにアサインしましょう。
commさんはMacroの機能を活用します。
それはMacroにある【Random】機能です。

補足

この機能は、Macroの設定(各ツマミ)をランダムに設定してくれるというものです。
手クセに偏らない設定になるのがメリットです。
commさんは『自分の好きなゆがみを見つける感じで触っていく』そうで。

整えていく

『この音だけでは音楽にならないので、整え方を紹介』してくれました。

その方法は『Auto Filterを入れて、オートメーションを描きまくって動かす』というもの。
『オートメーションを描き込み、汚せば汚すほどかっこいいと思っている』というのが、commさんの感性。
さらに『Auto Filterの具合によってBassになったり、サンプル加工しやすい』とも。

広がりを増すために、DelayやReverbなども入れてみましょう。

音を聴きながらAuto FilterのDry/Wetを動かしていき、オートメーションをRecします。
OperatorのFilterを動かしても、面白い効果が得られます。

こうやって出来た音をリサンプリングします。
EQで調整し、Echoをかけたりしてビートに乗せていきます。

補足

Live 12.3ではリサンプリングが楽になります。
これまでは『オーディオトラックを追加して、MonitorをInにして、そのトラックに元の音を送ってRecして』という手順を踏んでました。
あるいは、裏技的に『フリーズしたのをコピペして』とか。

Live 12.3では『クリップを選択して右クリックし「新規トラックにバウンス」とか「トラックをこの位置にバウンス」などを選択』すればリサンプリングしたのと同じ結果になります。

Sub Bass

『Sub Bassも、歪ませることによって溶け込ませることができます』とのことなので、手順を追ってみましょう。

補足

プレゼン後のQ&Aで判明しましたが、commさんが使っていたSub BassはSpliceのもので、さらに加工した音でした。
それを踏まえて先に進みましょう。

commさんはSaturatorとCabinetを使うそうですが、それぞれ

  • Saturator→キレイすぎて浮いてる音を周りに馴染ませる。Soft Sineをよく使うが、これは汚くならないでキレイな倍音にしてくれる
  • Cabinet→キレイな倍音にしてくれる(倍音を加えることで、滑らかに聴こえるようにしてくれる)

とのこと。

判断基準は難しいと思うのだが『実はどこにどうかかってるのかがよくわからない場合もあるが、いい感じになっていればOK』だそうで。

う〜〜ん、感覚派www

アンビエント系の音を作る時はPhaser-Flangerをよく使うそうで、これは『音を空間のいろんな場所に置いてくれる』ために使うそう。
捉え方は『Stereoを動かしてくれる感じのヤツ』と。
Phaser-Flangerは使用頻度が高いそうで、Vocalに使うこともあるんだとか。

まとめとして『ちょっと違和感があるサンプルとか、これかっこいいのにこの曲に合わない』なんて時に汚す系のラックを入れると全体がまとまった感じになる…というところでプレゼン終了。

Q&A

Q:サウンドデザインが感覚的だと思うんですが、オートメーションを描くタイミングは?
A:
オートメーションを描き込みながらリサンプリングしていく。とにかく「かっこいい」と思った音はリサンプリングしていくようにしている

Q:制作時はヘッドフォン?スピーカー?
A:
基本的にはスピーカーの方がインスパイアされる。Mixの時にヘッドフォンを使う。Phaser-FlangerはMixの時に使うことが多い

Q:Sub Bassの音源は?
A:
Spliceで引っ張ってきた音。Live Setに準備してある音は、加工済みの音

Q:OperatorのBassの音の作り方は?
A:
Sine波で足りない部分をLFO部分で補う感じ。大体気持ちよかったらいいというスタンスでやっている

Q:こんなにエフェクトを入れていたらリミッターを振り切りそうな気がするんですが?
A:
さくらさんのTipsである、マイナス6dBは使っている。後は加工すればいい感じになるかな

Q:今日、紹介した中で一番のお気に入りは?
A:
Shifter。思いっきり変えてくれて、思いもよらない音を出してくれるのが好き。Auto Filterも、自分が想像しない音を出してくれるのは好き

akimの一言

『感性が先。理論が後。』
これはakimが信じる法則です。

『気持ちいい』という感覚があるのなら、それを大事にするのが一番だと思います。
が、感覚だけだと『気持ちいい』に出会えない場合に、手詰まりになることもあるんですよね。
なので、理論という形で『気持ちいいに出会う方法』をまとめる役目も必要になるわけですよ。

ということで、今回のプレゼンはakimがその役割を担ってみた…つもりです。
誰かのお役に立てれば嬉しいです。

たくさん出てきたオーディオエフェクトは言葉だけでは説明しづらいので、僕のYouTubeを観てもらうのもアリかと。
全部ではないですけど、けっこう解説してます。

akiMusic〜エフェクト編

情報はこちらから

定期的に『音楽プロデューサーたちが集い音楽制作のノウハウをシェアし、互いのプロダクションスキルやモチベーションを向上させる』ことを目的とした【EDIT ROOM】というイベントを開催しているそうです。

詳しくはInstagramからお問い合わせください、とのこと。

Kazuaki Noguchi「汚さなくてもいい音を汚す理由」

commさんのプレゼンで『音を汚すのは楽しい』ということはわかりました。
が、そもそも『汚す理由は何?』ということですよね?
しかも、汚さなくてもいい音を汚すなんて…という方。
このプレゼンがお役に立つと思います。

Sound Designer

トラックメイクを基盤にしつつ、レコーディング/ミキシング/マスタリングなどのスタジオワークを中心に、コロナ禍以降はライブでのシステム構築やマニピュレートなど、現場/スタジオ共に音に関わることの相談役として活動中。

12歳でエレキギターを手に入れて以降、MTR/シンセサイザー/リズムマシン/サンプラーなどの機材を導入し、2002年からAbleton Live 1.5を使い始める。

DJミキサーに興味を持ったのをきっかけにDJ活動を始め、2007年KO KIMURAのコンピレーションアルバムに参加した音源が初リリースとなり、リミックスなど数多くのダンスミュージック音源を手掛けてきた。

その後、バンドのライブレコーディングやライブ音源のミキシングをきっかけとして、レコーディング、ミックスなどスタジオワークへと移行。

シーケンスを用いたライブの増える現在、現場でのライブシステムの構築や同期データの作成など、ライブ現場/ツアーなどに帯同してPAとは別の角度から音作りをサポートしている。

前置き

今回は

  • ライブパフォーマンスで使う時に、こういう汚し方をすると面白い
  • Ableton純正のエフェクトで使える汚し方

を軸に話を進めます。

Recが終わったデータをMixエンジニアさんからもらい、それをライブパフォーマンス用に音いじりしていきます。
曲は【HOME】というバンドの曲で【Still Dreaming】です。

8トラック分の音と、リターントラックが2トラック分、合わせて10トラック分の音をいじります。

…という前置きのうえで、本編です。

汚すとは?

Noguchiさんにとって『汚す』とは

  • (音の)キャラクターを作っていく
  • 密度を変えること

という考えがあって、具体的には

  • 波形の間の部分を埋めていく

とのこと。

それによって、密度が上がっていくという解釈をしてるそうです。
おそらくですが、commさんが言っていた『いい感じ』を言語化するとこういう解釈になるんだと思います。

Color Limiter

NoguchiさんはKickに使っているそうですが、このLimiterの特色である【Saturation】についてのお話から。
Saturationを上げ下げすると、高音域の抜けが悪い時に抜けてくるという効果を得られるそうです。

また、【Release】を下げるとKickがタイトになっていく、とも。

ライブの現場だとハコ(会場)が大きくなると反射で音が変わっていくので、それに対応するためにColor Limiterは重宝するそうで。

注意点として。
【Loudness】を上げていくと【GR(ゲインリダクション)】が表示されるのだが、これは『-2~3dB程度にしておく』とのこと。
曲のバランスに悪影響を与えないための目安、と言ったところでしょうか。
『PAさんと打ち合わせしておくと、Peak値を超えないので事故らない』というのも、現場を数多く経験しているNoguchiさんならではのお言葉。

補足

GR(ゲインリダクション)とは、LimiterやCompによって『どれだけ圧縮されたか』を視覚化したものです。
Color Limiterの場合は0~-48と表記された弧を描いたメーター部分です。

なお、Bassにも同様に使うそうです。

なぜ汚すのか

なぜ汚すのかについての答えを言う前に、Noguchiさんはキレイに整えたバージョンの曲を聴かせてくれました。

整え方は『ぶつかり合って邪魔しているところをEQで整えていく』という、王道のもの。
使ったのはEQ Eightやプラグインなどなど。

ただ、こうやってキレイにしていくと飽和感が減っていく。
(言い方を変えれば曲の厚みがなくなる、と言ったところでしょうか)

逆に汚していくと、曲にまとまりが出てくるわけです。

Redux

Reduxでビットレートを落とすと滑らかさが減るが、Noguchiさん的には『意外とイヤじゃない』結果を得られるそうで。
『歪み(ひずみ)だけでも色が付いた感じがしませんか?』と。

『これが正解』というものは無くて、『これが好き!』が判断基準。
たとえば『アルバムの統一感を出すために、Reduxを全曲にかける』でもいいし、『色を付ける』で使うのもアリ。

プラグイン

今回はAbleton純正のエフェクトをメインにお話ししてくれましたが、普段はプラグインも多用するそうです。
細かい説明は時間的に無理だったので、画面に映し出してくれたものをピックアップしてご紹介。

もっと詰める

キレイにするにしろ、汚すにしろ、リリースされた先でどういう環境で聴かれるかはわからないわけで。
ヘッドフォンで聴いたり、ハコ(クラブなど)で鳴らしたりして、普段の制作環境での聴こえ方との乖離分を調整していく、とのこと。

重要ですね。

Q&A

Q:EQ Eightの削り方は?難しい判断だとは思うが、明確な判断基準はありますか?
A:
曲のピッチに合ってない音とか、削る勇気。
EQ Eightのデフォルトのポイント(1〜4)は結構いいところに用意されているので、とにかく触ってみる。必要な音を集めていくと(帯域的な意味で)溜まる部分があるので、覚えてしまえば結構使える。この辺のTipsはYouTubeに出てる笑

個人的には「キュルキュル」する場所を切りたい。
Qを狭くして上げると、なんとなく見えてくる。
EQ Eight前後のエフェクトによって音が変わるので、設定し直すこともある

Q:Mid/Side Enhance(Roarのプリセット)。塩梅がよくわからないんですが…
A:
触ったのはDry/Wetと、Amountくらいかな。入れた瞬間にガンって来たな、と。
プリセットを試して、そのプリセットの理由がわかれば自分のツールになると思っている。

Plugin AlianceのBlack BoxのMidSide Glowのプリセットが好き。
これをVocalに使ったりするプリセットって何かしらの理由があってつくられてるはずなので、プリセットを触ってる方が「これをやりたかった!」になるんじゃないかな

Q:バンドの音とPCの音が馴染まないんだけど、オススメは?
A:
試しにColor Limiter。
シーケンスの世界観にバンドの音をはめたいなら、潰し気味。
バンドの世界観にシーケンスを入れたいなら、Compでトランジェントを立たせるようにする。

Q:テープ系のプラグインを使ってる理由は?
A:
ぶっちゃけ、この曲にハマる・ハマらないです。
曲のテンポによってハマり方が変わる。楽器ごとの音がくっつく感じがあって、そのくっつき方が判断基準。
伸びたテープを使った感じでヨレヨレ感を出すとイキイキしてくることもある

akimの一言

感性を大事にしながらその感性を形にするためにエフェクトやプラグインを理論的に扱う方、という印象を持ちました。

それにしても、現場での経験というものはモノを言いますね。
大変勉強になりました。

宮川智希 / Tomoki Miyakawa「タイプ別サチュレーションを活用した、リズムトラックミキシング」

3人目のプレゼンターは、Ableton認定トレーナーでもある宮川智希さん。
AMTにも何度か登壇してますし、Sleepfreaksの講師としても有名かと。

今回のプレゼンは『この状態だったら汚さずにいられないトラックを集めてきたので、それを完成させたい』という前提でスタートです。

アーティストとして、Lo-fi、Indie Rockなどの生音を主体とした音楽から、エレクトロニカやTechnoなどの電子音楽など様々なジャンルを経験し、2013年からは作曲・編曲家として主にポップスを中心とした音楽制作を行う。

これらで培ってきた様々な制作経験を基に2016年よりインストラクターとして指導を開始し、特定のジャンルに限定しない表現したい内容に適したワークフローを伝え、アーティスト性を重視した指導を行う。

現在はオンラインDTMスクールのSleepfreaks (https://sleepfreaks.co.jp) で講師として、音楽理論を含む基礎から楽曲完成に至るまでの幅広い内容のレッスンを行っており、これまで200名以上の方への指導実績がある。

Ableton Liveはバージョン8より本格的に楽曲制作に取り入れて以降、メインDAWとして使用し、Max for Liveデバイスを活用したLiveならではの制作手法の解説も行う。

どう汚すか

まず『時間があればもう少し汚したくなる』と感じる各トラックを聴くところから開始。

音に対する感想は宮川さんのものです。
感想は十人十色なので『わたしの耳にはそうは聴こえないけど?』ということもあり得ます。
それはそれで、自分の感覚を大事にしてください。
ここでは宮川さんの感想を元に話が進むので、Tipsやノウハウとして自分の引き出しに入れておくことをオススメします。

Kick

Kickを聴いた感想が『悪くはないが、アタックが弱いかな』と。

まずは王道の1つ、Compをかけてみるわけですが、結果は『悪くはないが重さが軽減されかねない』といったところ。

トランジェントシェイパーをかけてみると。
アタックは出るが、サウンドのキャラクターが変わっちゃうかな?と

トランスフォーマー系の歪みを加える(プラグイン)と硬質な感じになります。

HHの音

耳につく音をどうにかして取りのぞきたい。
取り除くことによって、奥に少し下げたいという狙いも。

Compでアタックを潰してみるも、耳につく音はなかなか取れない。
トランジェント系でも取れない。

汚し系としてクリッパー(プラグイン)を使ってみると、だいぶ耳馴染みがよくなった感じがします。

テープサチュレーションもいいが、音のキャラが変わりやすくなるので使い所は選ぶかな、と。

スネアの音

もっと抜けるようにしたい。
抜けると言えば高音成分が重要な1つなので、EQ Eightを入れてみるものの…。
この音に関しては高音成分が元々入っていないのでEQで高音を上げることは不可能。

ってことで、Erosion。
このエフェクトは入力信号に対してホワイトノイズを付加する。
ということは高音成分が付加されることになるので結果、抜けが良くなります。

Sub Bass

サイン波を出してる感じなので埋もれてます。

ここで、歪ませるときに普段気にしてるポイントを紹介します。

歪みとは【倍音を加える】ことが一番の目的です。
倍音は音の厚みやキャラクターとして感じています。

2倍音目を出すかどうかが低音部分を出すのに重要で、Saturatorがオススメです。
3倍音目が出てくると耳に入ってきます。

偶数倍音を出すために使うのがWave Shaperです。

倍音と一口に言っても、奇数倍音と偶数倍音でキャラクターが大きく変わります。

ただ、2倍音を出すと基音を邪魔してしまいがちなので、さじ加減が必要です。
Kickは50Hzが多く、Bassは100Hzあたりが多くなります。

あまり近すぎるHzを出すと邪魔しあってしまうので、これまた注意が必要です。

シンプルなピーと言う音

オススメはAuto Panです。

CurveをRandomにするとAmountのカーブがランダムになるので、ノイズっぽい質感が生まれます。
印象付けるためにはノイズっぽいのも効果的、ということで。

パッドっぽい音

Reverb成分だけにPedalを加えます。
中音域の厚みが強くなるので、宮川さんは良く使うそうで。

Q&A

Q:倍音の奇数偶数の特徴と使いわけを教えてください
A:
奇数倍音は硬くなってエッジがたつ。偶数は丸くなる。
真空管の場合、上げていくと丸くなる感じが偶数倍音。

Q:よく見えてたプラグインは?
A:
VUメーター。音が大きくなるといい音に聴こえるので、VUを合わせる

補足

VUメーターとは、針の振れを使って音量を示す機材です。
針の振れが人間の耳での聴こえ方に非常に近いとされ、音にかかわるいろんな場所(スタジオや放送局など)で音量のチェックに使われています。
ちなみに【VU】とは【Volume Unit】の略で【音量感】などと訳されます。

Q:制作時の歪みはどう扱う?
A:
歪みは最終手段に近いので、曲を聴いていて、感覚的に「ここ欲しいな」と言うところを歪ませて埋めていく感じ

akimの一言

毎度のことながら、音を言葉でまとめるのは難しいというか、限度があるよね〜笑
詳しいことは動画で確認してください。
Ableton Meetup TokyoのYouTubeで公開されると思うので。

あと、宮川さんのプラグイン好きっぷりは毎回驚くwww

まとめ

『音を汚す』という視点からの、今回のAMT。
ただ音を汚すのではなく【倍音】という視点からの分析は面白かったと、akimは思います。

それにしても、感覚派と理論派が混ざり合った回でしたなぁ。

そして、Ableton Meetup TokyoのSNS関係はこちら。


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