Vol.54のAbleton Meetup Tokyo(略称AMT)は、なんと8周年。
そんな今回は『サンプル素材の楽しみ方』という基本的な話から、マスタリングに関するLUFSの話もあり、さらにAIとの絡み方まで出てくるという、なんともバラエティに富んだAMTらしい一日でしたね。
Ableton Meetup Tokyoとは【Abletonユーザーを横断するコミュニティーの構築】を目的に隔月で開催されているイベント。
簡単に言うなら【Ableton Liveユーザー同士、仲良くなろうよ】と言う趣旨・・・ではあるものの、イベントの面白さが噂になったのかAbleton Live以外のDAWユーザーが参加することもよくある話。
ちなみに、このレポを書いてる僕(akim)も2018年にAbleton Certified Trainerになりました。
『Ableton Meetup Tokyo(略称 AMT)って、いったいなんなの??』という方、まずは過去のAMTレポートをお読みください。
Ableton Liveユーザーのみならず、音楽制作に関わっているのであれば興味出ること間違いなし。
前置き
Ableton?
今までのAbleton Meetup Tokyoもお読みいただくとして、まずは基礎知識。
【Ableton】とは【Live】というDAW(音楽制作ソフト)を作っているメーカーです。
直感的な操作が可能で楽器のように扱うことも出来るので、世界中のTrack makerやDJ/パフォーマーなどに愛用されてます。
その中でも、Abletonに知識・技能を認められた方々をAbleton Certified Trainer(Ableton認定トレーナー)と呼びます(自分で言うの、ちょっと恥ずかしいけどw)。
Ableton Meetup Tokyo
Ableton Meetup Tokyo(略称AMT)とは
が共同オーガナイズしているイベントです。
イベントの目的はAbletonユーザーを横断するコミュニティーの構築です。
簡単に言うと【Abletonユーザー同士、友達になろうよ】的な。
公式サイトや公式Facebookページもチェック!
ご紹介
残暑もだいぶ落ち着いた2023/10/6、六本木CUBEで行われた【Ableton Meetup Tokyo Vol.54】。
(Ableton Meetup Tokyoー略称:AMT)
実はAMT、なんと8周年を迎えました!
ということは、このブログを書いているakimも(毎回ではないとは言え)8年近くAMTに足を運んでいることになります。
オーガナイザーのKoyasさん曰く『周囲を見渡せば20年以上続いているクラブやパーティーも多く、8周年はまだまだ通過地点』とのこと。
これからも楽しみですねぇ。

まずは今回の登壇者やDJ、Touch&Try、司会のご紹介から。
紹介は登壇順、またはDJの出番順です。
なお、リンクはご本人が紹介したもののほかに、『ここを見れば情報を得られるかな?』というakimのおせっかいで貼ったものもあります。
登壇者



Touch & Try
毎回ではありませんが【Touch&Try】という名前のコーナーが出ることがあります。
その名の通り、機材にいろいろ触れるコーナーです。
今回は新しいPushに触ったり、かつ購入の相談まで出来たのでした。





司会
今回の司会はAMT共同オーガナイザーでもあるCD HATAと、軽快なトークが持ち味のDIEZONEです。

Chrumi「サンプル素材の楽しみ方」
1人目の登壇者は【Chrumi】さん。
読みは【クルミ】さん。

幼少期からピアノを始め、音楽が生活の一部となるバックボーンを持つ。学生時代から楽曲制作を開始し、ピアノのメロディをハウスやテクノへ取り込んでいく作風を持ち味にその個性を高めていった。
2017年10月にDJ活動を開始し、2019年5月には自身初となるアルバム「Quiet Liquor」をHIROYUKI ARAKAWA主宰のSPECTRAよりリリース。タワーレコード新宿店でもCDが展開された。現在では映像音楽制作や銭湯への楽曲提供を行うなど、活動の幅を拡げている。
『銭湯への楽曲提供』って気にならない?
なるよね??
その銭湯とは、横浜市保土ヶ谷区にある【満天の湯】さんだそうです。
銭湯というよりスーパー銭湯という感じなのかな。
でも天然温泉だって。
こんど行ってみようww

前置きはここまでにして、本編に行きましょう。
サンプル素材
今回のセットはPC1台。
MIDIコン等は使わず、マウスのみで進めます。

Chrumiさんは普段アレンジメントビューで作り始め、サンプル素材はPackやSpliceのものを使うそうです。

どこから始める?
もし、このブログを読んでるあなたが『サンプル素材で遊んだことが無い』というのであれば、一度は試してみて欲しいのですよ。
『いい音』と思える音源(インストゥルメント)を探してきて使うのもいいんですが、手元にある素材を自分好みに変えていく経過は本当に楽しいし、結果的に楽曲制作のクオリティを上げることにもつながるのです。
『それはわかったけど、じゃあ、どこから始める?』というお方。
『自分がどういう音を楽しいと思うか』から始めるというChrumiさんの言葉に従ってみましょう。
Chrumiさん自身は『アンビエント系、浮遊感がある音が好き』だそうですが、『ダークな音』『重たい音』『キラキラした音』など自分の好みの音を言語化してみると遊びやすいかと。
素材にするのはどんなサンプルでもいいけど、ワンショットのように短いものよりは長めのフレーズの方が遊びやすいのでおススメです。
で、選んだサンプルをアレンジメントビューに配置しましょう。
(セッションビューでも遊べるけど、Chrumiさんの方法だとアレンジメントビューが楽です)
配置したときChrumiさんは『3つくらいの使い方を考える』そうなので、順を追って見ていきます。
わかりやすさを考えてLiveの画面を入れてますが、それはakimが作成し追加したものです。
Chrumiさんの画面ではないことをご承知ください。
1つ目
まずは、サンプル素材のどこの部分を使うかを考えます。
これは自分の感性なので、好きなところを選びましょう。
マウスで好きな範囲を選択して【Win:Ctrl + E / Mac:Cmd + E】すれば、そこだけのクリップが出来上がります。
あとから調整するので、ざっくりとでOK。


『この辺りがいいかな』と見当をつけたら、さらにピッチを変えながら聴きます。
これはChrumiさん曰く【いろんなサンプルの表情を聴きながら探す】ため。
ピッチを変えるのにはクリップビューにある【トランスポーズ】ツマミが楽ですね。
トランスポーズするときは【Warp】ボタンがOnの状態がおススメ。
Offの状態でトランスポーズすると、サンプル素材の長さが変わります。

頭の位置、つまり音の始まる位置をしっかりと決めます。
さきに『ざっくりと』と選んだ部分を、ここで最終決定する感じですね。
ポイントは【いい感じのところだけ残す】こと。
曲の基本とするべく、4小節にします。
4小節より長い場合は不要部分をカットして、短い場合は複製して並べるとか、最後の部分を伸ばすとかで対応します。
2つ目
【1つ目】で作ったサンプルを聴きながら同じサンプルを流して、気持ちいい箇所を探します。
そのとき、サンプルの位置を変えながら探しましょう。
どこかで『あ、気持ちいい』という箇所に出会えるはずです。
Chrumiさんはさらにピッチを+5にしてコーラス感を足し、広がりを出すためにDelayを足しました。
3つ目
Drumのサンプルフレーズを使ってノイズを足していきます。
ただし、Kickやスネアなど波形が大きい部分は削除して、波形が小さい箇所のみ繋げていくのがChrumiさん流。

結合したり複製したりして4小節分にして、さらにリバーブをかけて残響成分を加えます。

アクセントを付けるために『ノイズ部分を4拍目だけに置く』というのもChrumiさんはやってました。
『Vocoderを入れるとシャリっとした音になるので好き』だそうです。
さらにDelayを掛けてシャリシャリ感を増したりして。
最後に
『プラグインにはない手作り感が、DTM楽しい!になるかなと思う』というのがChrumiさんの弁。
『いろんなサンプルで楽しんでもらえたらいいな』とも。

Q&A
さて、Q&Aの時間です。
プレゼンの内容に直接関係無いものまで出てくるのが、このQ&Aタイム。
ですが『なるほど!』というTips等にも出会えるので、侮れないのですよ。
Q:ピッチを変えるときのWarpモードは?
A:今回のプレゼンではBeatsを選択。
サンプルによってComplexにすることもアリ。
サンプルによって変えるので『コレ!』と決めてるわけではない。
Q:最初にサンプルレートとかを決める?
A:これに関してはKoyasさんからの助け舟が入りました。
LiveではないDAWの場合、プロジェクトを作る最初の段階にサンプルレートを選ぶ手順が入ることがあります。
ですがLiveはその手順がありません。
なので、気にしなくて大丈夫です。
Q:Vocoder以外に好きなエフェクトは?
A:好きなのはVynyl Distortion、PingPong Delay、Reverb。
Long Tail(Reverbのプリセット)は遠近感が出るので好き。
Q:Spitfireのプラグインは?
A:Spitfire Audio「LABS」
Q:なぜ浮遊感がある音が好き?
A:ジブリ作品の久石譲が好きで、エモいのを辿った結果。体に染み込む音が好き。
浮遊感がある音を聞いていると解放感を得られる、ことだと思う。
akimの一言
サンプル素材って、いろんな経由で手元に来ますよね。
気付いたらフォルダ内にたくさん溜まってる人もいるのではないかと。
ぜひとも、それらの素材を使って一度はChrumiさんのように遊んでもらいたいのです。
『楽しい!』があれば深堀りしていくんで、結果的にスキルやクオリティアップにつながりますよ。




Koyas「音量は最強のエフェクター」
2人目の登壇者はKoyasさん。
Ableton認定トレーナーであり、AMTのオーガナイザーであり…なのでAMTに足を運んだことがあるなら会ったことがあるはず。

Koyasは東京を拠点に活動しているアーティスト/プロデューサー/DJであり、エレクトロニックなライブ・パフォーマンスにフォーカスしたレーベルpsymaticsを運営している。
彼はDJ Yogurtと共同で音楽プロデュースを開始し、アンビエント·テクノのアルバムをリリースする傍、曽我部恵一BAND、奇妙礼太郎、ケンイシイ等のリミックスも手がけた。
その後、彼は自身のレーベルpsymaticsは2013年に設立。翌年にはCD HATA (Dachambo)との即興演奏をベースにしたエレクトロニック作品を発表。現在では彼が他のアーティストとのコラボレーションした音源シリーズをリリースしている。
Ableton Liveはバージョン3からのユーザーであり、その音楽制作やレーベル運営に関する知識を活かし、雑誌やウェブ媒体に記事を寄稿し、Abletonのアプリ=NoteのローカライズやPush 3のマニュアルも翻訳している。
彼は2015年から東京のAbletonユーザーコミュニティー=Ableton Meetup Tokyoを立ち上げ、隔月でミートアップイベントを開催している。その実績から、彼のチームは大規模なカンファレンスのプログラムにも参加している。
【音量】って重要な要素の割にはちゃんと解説されたこと、または解説出来るレベルまで知ってる人って意外に少ないんじゃないかな?
重要な要素であるけど、あまりに身近過ぎるというのもその理由かも?
そんな【音量】について、KoyasさんがPC1台でプレゼンします。
そもそも音量とは
そもそも【音量】について考えてみると、です。
人間の耳は、音量にはさほど敏感ではありません。
スピーカーという機器が誕生して、まだ100年経ったかどうかです。
これはどういうことかと言うと【音質を変えずに音量を変えられるようになってから】がそのくらいということです。
つまり、たかだか100年程度なので人間の耳は音量に対してそこまで敏感になれるほど進化してないという捉え方が出来ます。
音量は人間の感覚にどんな影響を与えるのか
音量が人間の感覚にどういう影響を与えるのか、試してみましょう。
LiveのMasterトラックにオーディオエフェクトの【Utility】とiZotopeのアナライザー(ラウドネスメーター)である【Insight】を入れます。

iZotopeのプラグインは有名かつ有益なものが多いですが、高価なものが多いのも事実です。
複数のプラグインがまとめられたセットものがあるので、コレを割引セールでゲットするのがなんだかんだで得な気がします。
KoyasさんはInsightを使ってますが、他のラウドネスメーターでも基本は一緒です。
ちなみにakimはFree Meterを使ってます。
フリーのプラグインですが、なかなか有能です。
このSetを準備したら同じ実験が出来るので試してみてください。
あ、最初はラウドネスメーターは使わないのでUtilityだけでもOKです。
お好きな曲をLiveで流してUtilityのGainを、まずは下げていきましょう。
そうすると「小さい」「寂しい」などという印象、言い換えれば感情を持ちます。
逆に上げていくと「うるさい」「きつい」最終的には「怖い」という感情を持ちます。
人によって感じ方に差異はあれど、音量を変えることによってなんらかの感情は抱くはずです。
感情を抱けたら、次へ。
摩訶不思議な音量の単位=デシベル
音量の単位は【dB(デシベル)】です。
発案は【グラハム・ベル】。
そして、重要なのは【この単位は物理的な量を表すものではない】ということ。
「リットル」とか「メートル」などのような単位とは違うのです。
【デシベルは元の音量からどれだけ変わったかの相対単位】なのです。
『相対単位?何に対する相対単位??』と頭の中が『?』で埋まった方、いますよね?
大丈夫、そうなったのはあなただけではありません。
島村楽器さんの記事【dB(デシベル)って何?音圧とは?】がわかりやすいと思うので、参考にしてみてください。
詳しい計算式等はWikipediaの『デシベル』が参考になるかと思います。


他にも重要な単位があるので覚えておきましょう。
いや、少なくとも知っておきましょう。
- dBFS→デジタルオーディオで0dBまでのヘッドルーム。0dBで最大値。Liveで言うと、Volumeフェーダー横の楕円で囲まれた単位
- dBu→音響機器などで用いられる信号の大きさ(電圧)。0dBは0.775V (ボルト)
- dBSPL→音圧レベルの単位。0dBは1kHzの信号を流してギリギリ聴こえる音量

『言葉としてだけでなく、もっと具体的に知りたい!』という方は以下の動画はいかがでしょう?ちょうど、Liveの画面を使って解説してくれてます。
音量は制作するときでも演奏する時でも気をつける必要がある
MixするときやRecするときに聴覚が大切なのは言わずもがなですが、視覚を使ってDAWの機能を利用するのも大切です。
LiveのVolumeフェーダーは音が流れると緑に光りますよね?
この緑、2種類あるって気付いてましたか?
それぞれ
- 薄い緑⇒瞬間値(Peak)
- 濃い緑⇒平均値(RMS)
を表します。
さらに【ラウドネス値(単位はLUFSまたはLKFS)】というものも存在します。
これは【音量感】、平たく言うと【音圧】を表すものと捉えるのが一番楽かな?
具体的には…たとえばテレビ番組を見ているとき、チャンネルを変えても、番組が変わっても、同じような音量で聞こえますよね?
こういうときのためにある単位(というか基準)と考えれば理解しやすいかも。
音楽でいうと、ストリーミングサービス(配信サービス)によってラウドネス値の基準が決められてます。
超えちゃいけないわけじゃなくて目安ではあるんだけど、知っておいた方がいいよね。

ということで、俗にいう【ネズミー】の映画アラジン(実写版)をお題として、ラウドネスメーターを使ってアナライズ。
映画そのままだとセリフが邪魔なので、サントラ(アナログ版)の読み込んだものを使いました。
手持ちで映画のサントラ曲があればそれをLiveに読み込み、音声をミュートした動画を観つつラウドネスメーターでアナライズしてみてください。
シーンに沿って音量や音圧を合わせてるのがわかると思います。
ちなみにKoyasさんがこの曲を選んだのは『ネズミーの映画曲はホントによく出来てるから』だそうです。
Q&A
Q:なにか小技があれば教えてください
A:Auto Panだと…Amountを上げて左右に振り、PhaseとRatioを上げればモジュラーシンセっぽくなって、Shapeでカクカクにすればトレモロっぽくなるよ
Q:ヘッドルームのおススメ設定は?
A:今のような配信時代はLimiterのCeilingを「-1」にするのがおすすめ。配信会社からの指定で「-1」または「-2」dBの指定があるためと、見えないところで1dB上がることがあるので、配信用に変換するときに妨げになるのがその理由。
Q:LUFSの上げ下げを作る方法を具体的に教えてください
A:Drumが入る、Bassが入るなど、アレンジで対応しましょう。ミックスダウンの段階であれば、MasterのVolumeが赤くならないように、全トラックの音量を下げます。
目安はMasterのVolumeが「-6.0dB」になるように。
Q:配信サービスのプラットフォームが違うと、曲の音量も変わる?
A:Apple Musicだと再生するソフトによって揃える機能がある。
ビートポートだと、多分違って聴こえる。
akimの一言
当然ながら、一番重要なのは出来上がる音。
単位なんかは段々と覚えていくはずなので、まずはラウドネスメーターを使って自分が好きな曲を解析してみるところから始めてみてはどうでしょう?
余談ですが。
YouTubeだとアップされたファイルは圧縮されてるので、YouTubeからダウンロードすれば音量が本来の曲の音量とは変わってます。
結論として、欲しい音源はちゃんと『買え』っつう話。




Nao Tokui「AI音響合成モデルのパフォーマンス活用法」
3人目の登壇者は【Nao Tokui】さん。
近頃よく耳にする『AI』というものを使ってのお話し。

アーティスト/DJ/研究者。AIを用いた人間の創造性の拡張を研究と作品制作の両面から模索。
AI研究者やアーティストからなるコレクティブQosmoを2009年から率いる他、AI技術に基づく新しい楽器を開発する会社、Neutoneを2023年に設立した。
音楽作品としては、PROGRESSIVE FOrMなどのレーベルからのNao Tokui名義でのリリースや、故Nujabesとのコラボレーション作品などがある。2023年6月にはバルセロナのSónarフェスティバルに招待され、AIと音楽に関する基調講演及びパフォーマンスを行った。
はっきり言って、AI技術だったりプログラミング技術に疎い方には『???』という内容かもしれません。
そもそも、このブログを書いてる僕もその方面について長けてるわけではありません。
が、目をそむけちゃダメだと思うんです。
経理の人の道具がそろばんから計算機に、そして計算機からPCの経理ソフトに代わったように時代の流れに逆らえないことというものはありますよね。
音楽だってそのはずです。
AIで何が出来るのか
たとえば【Back to Back】というDJのスタイルがあります。
このスタイルは2人のDJが交代で曲を流していくんですが、この2人の内の1人をAIが担うなんてことをNaoさんはされてます。
具体的には、相棒さんが流した曲でフロアのお客さんがどれだけ踊っているかをカメラで解析して、それを素に次の曲をAIが決める、という…なんというか近未来ww

Naoさんいわく『次世代のDJ像』だとか。
また『(MIDIではなく)オーディオをAIがリアルタイムで生成してDJパフォーマンス』なんてことも。
実際には生成には0.5秒かかるんだけど『その0.5秒で4秒のループを生成』するので、4秒のループが流れている間に次のループが生成されるということで『リアルタイム生成』と。



Naoさんいわく『Discをジョッキーするのではなく、AIをジョッキーするイメージ』とのこと。
いやはや、すごい時代ですが、AIも苦手なことはあるそうです。
DJで言うなら『流れをちょっとハズして、次はこういう曲を流す』のようなことは苦手だそうで。
(今後、学習が進めばわからないけど)
Neutone
Naoさんが設立された【Neutone】。
ミュージシャンやアーティスト向けの次世代AIツールを開発しています。
先の『次世代のDJ像』や『リアルタイム生成』の話を聞くと、俄然興味が出てきますね。

インターン募集中だそうなので、興味がある方は手を挙げてみては?

Neutoneというプラグイン

neutone.space から無料でダウンロードできるVST / AUプラグインです。
ぜひ、ダウンロードして遊んでみてください。
普通のエフェクトとはちょっと違ったものがたくさんありますよ。

Q&A
Q:Chat GPTだと解析に時間がかかるけど、Neutoneとの違いは?
A:ピアノを買ったらピアノの音が出したいはず。あらゆる音を出すためには解析時間は増えるけど、それはそれでいいと思う。
Q:Pythonを使うのはなぜ?
A:AIに向いてるのと、GPUの問題。Max内でJavaScriptを書く方法もあるが、それだと動きが重い。
Q:AIと音楽をやろうと思ったキッカケは?
A:カール・シムズの作品を見たこと。彼の「思いもつかないものが生成された」という発言から。自分1人では作れないものをAIの力を借りて作れたら、と思った。
AIって、バンドでハラハラドキドキを感じるのに似てるよね。
自分が思っていないアプローチをバンドメンバーが提示してきた、あの感じ。
Q:AIの著作権については?
A:日本では著作物を学習してもOK。
誰かを模倣するために学習した場合はロイヤリティを払うべきだと思う。作品の最終形として模倣したものの「らしさ」が溶け合ってしまった場合は、サンプリングカルチャーの観点から許されるのかな、と。
Neutoneとしては、作品の売り上げなどを分配できる形を模索している。
現行の法律では著作物の学習はOK…なんですが、2023年の12月にちょっと風向きが変わりそうな話がありました。
Chat GPTのような生成AIの場合、学習元となるデータが必要になります。
この「AIの学習」が、OKの根拠とされている「享受目的」には当たらないという話が出てきました。今後、法整備がされるとAIとの付き合い方にも変化が出るかもしれません。
どうなるか、注目ですね。
akimの一言
AIという、新しい技術。
いつの世でも、新しい潮流には様々な意見や動きが伴います。
ですが、DAWが進化し始めたとき『生のオーケストラ、いらなくなるんじゃない?』なんて声もあったものの、なくなってはないですよね。
持ちつ持たれつというか、DAWにはDAWの長所が、生のオーケストラには生のオーケストラの長所があるわけです。
AIともそういう関係でいられたら、もっと面白くなるんじゃないかと思うんです。
僕の中で『これからもAI関係には注目していこう』という結論になりました。




ということで、『これぞLiveの使い方』という話から『全音楽共通の音量の話』を経て、『AI』まで網羅した今回のAMT。
いやはや、相変わらず濃いというかなんというかwww
『次回のAbleton Meetup Tokyoも楽しみ!』という方は、AMT公式のアカウントをフォローしておいてくださいね。
……なんて書いてる間に、僕が遅筆なもので次回のAMT情報が出ちゃいました。
僕も遊びにいく予定ですので、会場でお会いしましょう。
レッスンという選択肢
DAWを使っての音楽制作、もっと楽しみませんか?
楽しむためのちょっとしたTips、レッスンしてます。
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