今回のAbleton Meetup Tokyo(略称AMT)は【20min Challenge】。
つまり【20分で1曲作ろう】という回。
下準備はせず、20分で書き出し(エクスポート)まで終わらせるのが今回のルール。
Ableton Meetup Tokyoとは【Abletonユーザーを横断するコミュニティーの構築】を目的に隔月で開催されているイベント。
簡単に言うなら【Ableton Liveユーザー同士、仲良くなろうよ】と言う趣旨・・・ではあるものの、イベントの面白さが噂になったのかAbleton Live以外のDAWユーザーが参加することもよくある話。
ちなみに、このレポを書いてる俺(akim)も2018年にAbleton Certified Trainerになりました。
『Ableton Meetup Tokyo(略称 AMT)って、いったいなんなの??』という方、まずは過去のAMTレポートをお読みください。
Ableton Liveユーザーのみならず、音楽制作に関わっているのであれば興味出ること間違いなし。
過去のAMTについてはこちらから↓

前置き
前置きはほぼ定型なので、本編が気になる方は本編Vol.24に飛んじゃってください^^
Ableton?
今までのAbleton Meetup Tokyoもお読みいただくとして、まずは基礎知識。
【Ableton】とは【Live】というDAW(音楽制作ソフト)を作っているメーカーです。
Liveは動作が軽く、直感的な操作が可能なので世界中のTrack makerやDJ/パフォーマーなどに愛用されてます。
その中でも、Abletonに知識・技能を認められた方々をAbleton Certified Trainer(Ableton認定トレーナー)と呼びます(自分で言うの、ちょっと恥ずかしいけどw)。
手前味噌ですが、俺がやってるユニット【風雷坊=FuRaiBou=】のYoutubeチャンネルでAbleton Certified Trainerについて話してるんで興味ある方はご覧をば。
(ついでにチャンネル登録してくれたら喜びます笑)
Ableton Meetup Tokyo
Ableton Meetup Tokyo(略称AMT)とは
が共同オーガナイズしているイベントです。
周囲を
が実動部隊として、
が写真撮影として固めてます。
(順不同・敬称略)
イベントの目的は
Abletonユーザーを横断するコミュニティーの構築
です。
簡単に言うと【Abletonユーザー同士、友達になろうよ】的な。
公式Facebookページもチェック!
イベントは、基本的に【Ableton Liveの使い方のプレゼン⇒Q&Aタイム】のように進みます。
回によってはパネル・ディスカッションなど、濃ゆ~~~いトークが聴ける場合もあります。
そして、実はお客さんのすべてがAbletonユーザーではないのです。
『Abletonをススメられた他DAWユーザーさん』とか、『音楽制作を始めたいんだけど、よくわからない』とか、いろんな方がいらっしゃいます。
そもそも【Ableton Liveのプレゼン】ってのは基本であって、Ableton Liveに限らず【音楽制作】をするのであれば必ず役立つようなプレゼンも多いんです。
さて、長い前置きはここまで。
いよいよ本編。
Vol.24 20min Challenge
今回の司会はKoyasさんと【DIEZONE】さんのコンビ。
なんとなく、スポーツ中継の実況と解説を聞いてるような笑
で、当日のメニューはこちら。
当然ながら、全員が同じテーマである「20min Challenge」に挑戦です。
Ableton Liveという共通項はあるものの、考え方や機材、アプローチなんかにも個性が出るのが面白いところ。
一応、ルールとして
- 前もっての仕込みはNG
- エクスポートまで行う
ってのが最低限。
CD HATA
まずはCD HATAさんの機材はと言うと【Live10.0】が入ったMacのみ。
ハードウェアは無し。
Ableton Liveの中身は
- MIDIトラックが1つ
- ReturnA⇨Outer spaces
- ReturnB⇨Echo(Dry/Wetは100%)
- Master track⇨Metering(IK Multimedia)
ReturnAに入ってるOuter spacesはMax For Liveのデバイスですね。
EchoはLive10から搭載されたエフェクト。
Masterに入ってるMeteringはマスタリング用に差し込んでいるプラグイン。


挑戦開始
HATAさんはAbleton LiveよりもLogicユーザー歴の方が長いお方。
なので
「頭の中にイメージがあるならLogicの方が作業は速い。でも実験的な音を作るならAbleton Liveの方がいい」
と言う前置きをした上で、挑戦開始。
ワークフロー自体はかなりシンプルかと。
Drum Rackを置いてKickを作り、そこからSnare、HH、Bassを作っていって・・・みたいな。
ただ、Max For Live(略称M4L)の使用頻度が多めかも。
例えば【Mono Sequencer】。
まずは、Drum RackにKickのサンプルを大量に配置(Pack内のOne shotから複数選択してドラッグ&ドロップ)。
配置されたサンプルをMono Sequencerで発音させる仕組み。
Kickを1つずつ打ち込むよりもかなり高速。
意図してない鳴り方をすることもあるけど、それはそれで実験的なので面白い効果が。
同様の方法でSnareとHHも生成。

注意点としては、Mono Sequencerは負荷が高いのか時々バグる事があるそうで。
(音が鳴らなかったり、動作が止まったり、とか)
なので、HATAさんはMono Sequencerで生成したDrumパターンを、ルーティングしてMIDIトラックにRecすると言う形でバグを回避。
ルーティングについては、手前味噌ながらこの動画が役に立つかも。
エフェクト(この動画ではChord)を使って生成された音をMIDIクリップ化してます。
HATAさんの【Mono Sequencerで生成された音をMIDI Rec】と基本は同じ。
他には【LFO】。
この挑戦の中だけでもいくつも使ったデバイス。
手順的には
- LFOの波形を決める
- 「1」で決めた波形に沿って揺らしたい、他エフェクトのパラメーターにLFOをアサイン
- LFOの波形に沿ってパラメーターが動く
こんな感じ。
HHに掛けた【Auto pan】や【BUCHLA】と言うプラグインにもLFOを掛けてコントロール。
オートメーションRecでもいいんだけど、LFOを使った方が時間的にはかなり短縮可能。
やはり20分と言うのはかなり短い。
M4Lは、Live10だとSuiteから使用可能という条件はあるけど、使ってみるとかなり面白いデバイスが揃ってるんだよねぇ。
上手く使えばHATAさんのように時間を短縮させることも、実験的な音作りも難しくなかったりする。
Suiteに付いてくるM4Lデバイスだけでも十分に面白いし、Ableton公式サイトから追加購入することも出来るし、maxforlive.comから世界中の有志が作ったデバイスをダウンロードすることも出来てしまうので「M4Lを使ってない!」と言うSuiteユーザーは今すぐ試してみるのを強くオススメ。
完成音源
HATAさんが20分で作った音源がこちら。
Primula
当初は【Ikuko Morozumi】さんが登壇する予定だったんだけど、体調不良のために代打として急遽決定したのがPrimulaさん。
「準備もあまり出来なかっただろうに」と心配しつつも、「その状態でどんな感じのを見せてもらえるの?」と一風変わった期待を持ったのはakimだけじゃないはず。
まずはPrimulaさんの機材から。
- Live9 standard
- MBase11
- driftBox S
- iRigKey
以上のセッティングでの20min Challenge開始!
挑戦開始
まずはMBase11を使ってKickの音から。
Primulaさん曰く『LFOを使ってDecayを揺らすと面白い』と。
いくつかあるパラメーターの中でも特にDecayにこだわる理由は『Bassの要素を補ってくれるから』だそうで。
(Challenge後のQ&Aコーナーで判明)
で、Kickの他にSnareやHHなどの音も作り、それらをAbleton LiveのアレンジメントビューにRec。
そのまんまじゃつまらないから、とKickにリバースを掛けたりなどの技も使ったり。
お次はdriftboxを使ってシンセの音作り。
driftboxをよく知らない方(akimを含む)のために、driftboxを作った会社の代表取締役によるパフォーマンス動画を貼っておきます。
動画のようにつまみをグリグリして作った音を、LiveのアレンジメントビューにRec。
Primulaさんが使ってたのは【driftbox S】。
このモデルは残念ながら生産完了品だけど、他のモデルはあるみたいよ?
次に、PercussionとPadの音を、iRigKeyを使ってリアルタイムRec。
ちなみに、Padの音はFireBird(Tone-2)を使用。
無料のVst pluginなんだけど、Windows 32bit専用。
環境によっては使えないかもね。。。
で、ここから意外なTipsが登場。
Percussionの音(MIDIクリップ)をBass用のトラックにそのままコピペ。
スケールやキーは、とりあえず無視。
コピペ後に耳を使って合わせていくんだそうで。
う〜〜〜む、Bass弾きのakimとしては驚きのベースライン制作方法だ。。。
同様にもう一丁コピペ。
Samplerを差し込んだトラックにHHのフレーズをば。
Sampler自身には『親戚のおばあちゃんの声』を入れておりました(微笑ましいな)。
で、ここで20min。。。
時間切れにより書き出しまでは行けなかったものの、ハードウェアの音をアレンジメントビューにRecし、全く別の音が鳴るトラックにフレーズをコピペすると言う興味深いTipsを披露しての終了でした。
山頂瞑想茶屋
登壇することも多いけど、お客さんとして来てることも多い山頂さん。
客席からのツッコミの8割は山頂さんと言う噂があるとか無いとか。
(でも、実は凄い方なのよ?)
まずは機材からね。
- Ableton Live9.7 Suite
- Push(初代)
では、挑戦開始。
挑戦開始
最初に言ってしまうと、山頂さんの作り方は至ってシンプル。
セッションビューでDrumを打ち込み、シンセを入れて、Bassを入れて・・・みたいな。
ただ、ちょっと違うのはその音の作り方というか、音源の出どころというか。
山頂さんは手に入れた楽器の音を録っておくんだそう。
例えば、手に入れたハードウェアのシンセサイザーなどなどの音とかね。
PrimulaさんはMBaseの実機を使ってその場でKickの音を作ってたけど、山頂さんの場合はMBaseを使って作った音を既にサンプリングデータとしてストックしてあるのです。
なので、打ち込んだDrumのKickを、ストックしてあるMBaseのKickに差し替えるという芸当も可能。
あるいは、Simplerにサンプリングファイルを差し込んだり、とかもOK。
実際、山頂さんは最初に打ち込んだKickを、サンプリングしてあるMBaseのKickの音と差し替えます。
そして、Simplerにストックしてあるシンセの音を入れて、シンセとBassのトラックも完成。
サンプリングデータとしてストックしてあるのは楽器の音だけではなく、街の音なんかも録りためてあるのが山頂さん。
その辺の話は、AMT Vol.18の【Simplerで始めるトラック・メイク】のレポを参考にどうぞ(手前味噌)。
エフェクトはEQやFilter Delayを使用。
EQには(HATAさんもやってた)【LFOをアサインして揺らす】と言う仕込みを。
で、ここからアレンジメントビューにRec。
(クリップをコピーするんじゃなくてRec)
オートメーションはPushを使って、オートメーションRecをするのが山頂さんの好みだそうで。
マウスでエンベロープを描くのは、なんとなく好きじゃないそうな。
音作りは【Decay短め】と【ワープを外す】というのが山頂さん的こだわり。
Decayに関しては好みもあるんだろうけど、【ワープを外す】というのはあまり聞かないTipsかも。
曰く『ワープがかかってると音が悪くなる気がするから』だとか。
確かに、ワープがONってことは多少なりともタイムストレッチが掛かってるということになります。
たとえ、見た目は全く同じだとしてもね。
例えるなら、音をエフェクター(実機)にバイパスで通したとしてもエフェクト回路の影響は多少なりとも受けるのに近いかなぁ。
ワープを掛けるか外すか、こう言うこだわりって面白いね。
今回のタイトルにした『ヤベェ〜、案外出来ないもんだな』と言ったのは山頂さんです。
シンセを打ち込んだ後、Drumの仕上げに入る前に思わず口走っておりました笑
20分って、長いようで短いよね。。。
でもタイムリミットを決めて取り組むってのは、作業の密度を上げる練習になるので、結果として得るものも多いと思います。
試しにやってみてはいかがでしょ??
LFO
3人とも何度も口にしたのが【LFO】と言う単語。
知らない人はここで覚えちゃいましょう。
結構、いろんなところで出てくるんで。
Low Frequency Oscillator
【LFO】とは【Low Frequency Oscillator】の略です。
直訳すると【低い周波数の発振器】。
人間の可聴域の下限ギリギリ、あるいはちょっと下回るほどの周波数なので、音としては聴こえないことがほとんど。
でも【発振器】の名のとおり、波は出てます。
その波を使ってパラメーターを動かす、というのがLFOの役割。
マッピング機能を使って、LFOの波を他エフェクトのパラメーターにアサインすればOK。
LFO自体が音色や音程を変えるのではなくて、LFOの波が他のパラメーターをアレコレすることによって音が変わる、って言えばわかりやすいかな?
Ableton Liveであれば、Max For Liveの【LFO】というデバイスを使えば簡単。
今回のAbleton Meetup Tokyoレポはここまで。
20分を短いと思うか、長いと思うか。
一度、チャレンジしてみてもいいと思うよ??
レッスンという選択肢
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