前回のAMTが【モチベーション】についての回でした。
モチベーションが上がったら、その先は制作だと思うんです。
では、その制作に役立つ、あるいは試してみたいTipsや話が盛りだくさんの回が、今回です。
Ableton Meetup Tokyoとは【Abletonユーザーを横断するコミュニティーの構築】を目的に隔月で開催されているイベント。
簡単に言うなら【Ableton Liveユーザー同士、仲良くなろうよ】と言う趣旨・・・ではあるものの、イベントの面白さが噂になったのかAbleton Live以外のDAWユーザーが参加することもよくある話。
オーガナイザーのKOYASさん曰く【大人の部活動】。
ちなみに、このレポを書いてる僕(akim)も2018年にAbleton Certified Trainerになりました。
『Ableton Meetup Tokyo(略称 AMT)って、いったいなんなの??』という方、まずは過去のAMTレポートをお読みください。
Ableton Liveユーザーのみならず、音楽制作に関わっているのであれば興味出ること間違いなし。
前置き
Ableton?
今までのAbleton Meetup Tokyoもお読みいただくとして、まずは基礎知識。
【Ableton】とは【Live】というDAW(音楽制作ソフト)や【Push】や【Move】というハードウェア(というか楽器)、【Note】という音楽スケッチ用iOSアプリを作っているメーカーです。
直感的な操作が可能で楽器のように扱うことも出来るので、世界中のTrack makerやDJ/パフォーマーなどに愛用されてます。
その中でも、Abletonに知識・技能を認められた方々をAbleton Certified Trainer(Ableton認定トレーナー)と呼びます(自分で言うの、ちょっと恥ずかしいけどw)。
Ableton Meetup Tokyo
Ableton Meetup Tokyo(略称AMT)とは
が共同オーガナイズしているイベントです。
イベントの目的はAbletonユーザーを横断するコミュニティーの構築です。
簡単に言うと【Abletonユーザー同士、友達になろうよ】的な。
公式サイトや公式Facebookページもチェック!
【あなたの得意技見せてください】のご紹介
2024年11月9日に六本木CUBEで行われた【Ableton Meetup Tokyo Vol.59】。
(Ableton Meetup Tokyoー略称:AMT)
今回の登壇者やDJ、司会やTopicsのご紹介から。
登壇者の紹介は登壇順、またはDJの出番順です。
登壇者
ハンサム判治
Sakura Tsuruta
XLII
DJ
ReFuCafé
2008年よりDJ、作編曲家、シンセサイザー奏者として活動。
現在DJ活動はDrum‘n’Bass,、House、Technoの3本柱で展開しており「一本の映画を観ているようなドラマチックなDJ」を得意とする。トラックメーカーとしては叙景的でストーリー性のあるクラブミュージックを制作しており、hoshizora.labelから定期的にリリースしている。
主催:どうげんざか懺悔室(道玄坂教会)、OAS1S(WOMB)、HG BRAND(BRAND SHIBUYA), SHOWCASE
レギュラー:RAVE GROOVE (WARP Shinjuku), Fiesta (WARP Shinjuku)
掲載:KORG DS-10 PLUS Limited Edition(「学研 大人の科学マガジン」制作ガイドブック同梱)
協力(音色提供):KORG DS-10PLUS 音作りパーフェクトガイド(学研)
ayaka
2018年から渋谷を中心にDJ活動を行う。
テクノを主軸に、無骨で重厚な質感と繊細なプレイで空間をつくりこむ。
司会
前回に引き続き、司会はAMTのオーガナイザーであるKOYASとCD HATAです。
安定のコンビネーション。
Topics
Ableton Move
Ableton Moveが発売開始!
会場にもTouch & Tryとして、Moveが触れるコーナーがありました。
プレゼンでもハンサム判治さんとXLIIさんが使ってましたね。
このMove、制作だけではなくライブでも使える可愛いヤツですが、KOYASさん曰く『RMX1000(Pioneer)と合わせると面白い』とのこと。
理由としては『MasterトラックにDJっぽいエフェクトが入ってないので、外部のエフェクトとしてRMX1000と合わせる』んだそうで。
以下の埋め込みの2枚目の写真を参考にしてください。
Ableton Live 12.1
前回のAMTではまだベータ版だったLive 12.1が正式リリースされました。
僕のYouTubeチャンネルでもいろいろ解説してるので、よければご覧ください。
いくつか貼っておきますね。
ハンサム判治「ピアノが弾けないゴリラでも弾けるお洒落コードワーク」
マジで声がデカい笑
さすがの一言。
プレゼンの内容は、非常に音楽的で理論的で感覚的。
感覚で弾いてた(音を出していた)ところから「あ、音楽ってこうなってるんだ」という場所に辿り着いたタイプのようなので、ある意味でこれ以上に実践的なものはないよね。
そして、プレゼン中にたびたび出てくる「イニサヨゴロナ」は判治さん本人の本を読むのがオススメ。
入門用動画はこちらが判治さん本人のおススメ。
余談ですが【イニサヨゴロナ】の考案者は判治さんなんだけど、他のボイストレーナーさんがバズらせたおかげで、判治さんをパクり扱いする方がいるそうで…。
もう一回言いますね。
考案者は判治さんです。
茅ヶ崎在住の海の上の絶叫詩人、音楽プロデューサー。
ハンサム兄弟/デブパレード/HANZI BAND/ゴリラ人間ズのボーカル、ウクレレ大使。
「NARUTO〜疾風伝」「CR天才バカボン」「ギララの逆襲」等の主題歌、「グリコカフェオーレ」「ロッテWAVE(松井秀喜)」「薬王堂」「JR東日本」等のCMソング、プレステソフト「ギタドラ」のゲーム音楽などを手がける。
NHK Eテレアニメ「オトッペ」の劇場版サウンドトラックCDのプロデューサーとして自ら経営するハンサムレコーズからリリースするなど子どもの音楽教育にも深く関わる。
2021年茅ヶ崎移住を機にレコーディングスタジオと地域密着型レーベル「湘南レコーズ」を設立し湘南地域から世界に通用するアーティストを輩出するプロジェクトをスタート。
6歳児から69歳までの地元アーティストや茅ヶ崎支援学校の生徒と卒業生もプロデュースしアーティストデビューに導く。
Ableton Liveに移行してビートメイクにもハマり地元の好きな飲食店のCMソングを即興でビートメイクし「茅ヶ崎グルメガイド」という音楽作品として連続リリース中。
役者としてもドラマ「おせん(蒼井優)」「スクラップ・ティーチャー(Hey!Say!JUMP)」映画「ギララの逆襲(ビートたけし)」「お墓に泊まろう!」等に出演。
現在も音楽プロデュース業と並行して、絶叫アシッドジャズバンド「ゴリラ人間ズ」を中心に自らの音楽活動も精力的に展開している。
「湘南ウクレレフェス」と「ワンオーシャンフェス」という2つのフェスの主催者として茅ヶ崎をもっともっと音楽の街として盛り上げるために奮闘中!
セットアップ
判治さんのセットアップは
- Macbook
- Move
です。
ちょっと裏話。
Moveだけでプレゼンをするつもりだったそうですが、KOYASさんに『わかりやすさを考えて、Liveの画面も見せて欲しい』と言われ、Macbookも持ってきたそうな。
12人の登場人物
音は(平均律の場合)12個。
この12個(12人の登場人物)をわかれば音楽が見える、というのが今回のプレゼンの軸です。
まずは12人の登場人物のうち、7人を見ていきましょう。
ということで、メジャースケールを覚えていきます。
メジャースケールとは『ドレミファソラシド』の音並びのことです。
ドとレの間が全音、ミとファの間が半音…と音並びを分析すると【全全半全全全半】というルールを持っています。
このルールに従って音を並べたものがメジャースケールとなります。
たとえば『ファ』から始まるメジャースケールは『ファ ソ ラ シ♭ ド レ ミ ファ』と、シを♭(半音下げ)させれば【全全半全全全半】になりますよね?
これがファから始まるメジャースケールです。
メジャースケールの各音に数字を付けます。
低い音から順番に【12345671】となります。
最後の音を8と数える方法もありますが、次のメジャースケールの始まりでもあるので【1】とします。
さらに【12345671】を、年号を覚えるがごとく【イニサヨゴロナイ】と読み替えます。
表にまとめるとこんな感じ。
ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 1 |
イ | ニ | サ | ヨ | ゴ | ロ | ナ | イ |
こう書くと『ファから始まるメジャースケールの場合はヨゴロナ…になるの?』と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうはなりません。
メジャースケールであれば、どの音から始まろうとも『イニサヨゴロナイ』でOKです。
これは【移動ド】という考え方なので、気になる方は調べてみることをおススメします。
とりあえず、ここでは【どんなメジャースケールであっても(始まりの音が違う音でも)メジャースケールであるのなら『イニサヨゴロナイ』でOK】と押さえてください。
Moveで見てみる
今回、判治さんはAbletonから発売された【Move】を用意してました。
Moveとは、いろんなところに持ち歩いてアイデアを溜めておくためのハードウェアですが、Liveにつないでコントローラーにもなる可愛いヤツです。
Moveについては僕も動画で解説してるので、気になる方はご覧いただけると。
判治さんはピアノが弾けないそうですが、曰く『ピアノだと白鍵と黒鍵が混ざるけど、MoveやPushはパッドだからおんなじ景色』と。
先に例に挙げた『ファから始まるメジャースケール』であれば、シが♭なので黒鍵が1つ入りますよね。
1つくらいなら可愛いもんですが、たとえばBメジャースケールだと『シ ド♯ レ♯ ミ ファ♯ ソ♯ ラ♯ シ』と、黒鍵が5つ入ります。
鍵盤に慣れてない人(僕も含む)だと、ややこしい限りなんです。
が、MoveやPushだと【Scale(スケール)】という機能を使って、始まりの音が違うメジャースケールを用意できます。
(用意出来るのはメジャースケールだけではないんですが、ここでは割愛)
どんなメジャースケールを用意してもパッと見は同じなので『ここが半音下がった黒鍵で…』と悩むことが無くなります。
名前を付ける
さて。
イニサヨゴロナの真髄に迫っていきます。
重要なのはここからです。
判治さんは、各音に名前を付けました。
この名前は、メジャースケール内で各音が持つ個性を明確化したものです。
- イ→一番
- ニ→ニヒル
- サ→サニー
- ヨ→酔っ払い
- ゴ→ゴリラ(優しくて強い)
- ロ→ロマンチック
- ナ→ナルシスト
試しにMoveやPush、鍵盤楽器、Liveなどで音を出してみましょう。
(ピアノなど、音程が安定してるインストゥルメントがおススメ)
音の出し方は『イの次に〇の音を出す』です。
この出し方をすると、音の個性がわかりやすいはず。
たとえば、ゆっくりと『イゴイロ』と弾いてみましょう。
イゴとイロでは当然ながら音が違うわけですが、個性が違うのがわかりますか?
『音が違うのはわかるけど、個性が違う???』という方、最初はそこからで大丈夫です。
イニサヨゴロナの個性をイメージしつつ弾いてると、そのうち『あ、そういうことか!』となりますから。
コードを弾いてみる
次はコードを弾いてみましょう。
【イサゴ】を同時に弾けば、明るい和音が鳴ります。
明るさを個性とする【サ(サニー)】が入ってるからですね。
では、試しに【サ】を半音下げた和音を弾いてみましょう。
【イサ(半音下げ)ゴ】です。
明るさを個性とするサニーが引っ込んでしまったので、暗い和音が鳴ります。
明るい和音をメジャーコード、暗い和音をマイナーコードと呼びます。
メジャーコードに【ナ】を加えて【イサゴナ】と弾いてみれば…オシャレじゃないですか?
【ナ】を半音下げて【イサゴナ(半音下げ)】と弾いてみればブルージーな響きになります。
このように、12人の登場人物の個性を捉えると音楽がとても理解しやすくなるはずです。
さらに。
メロディを作るときなど、MoveやPushで音を探り探りすることがあると思います。
このとき【イニサヨゴロナ】で歌ってみましょう。
続けてると相対音感が育つので、超おススメ。
さらにさらに。
メロディを作るとき【ニ】から始めると【マイナーなのにロマンチック】になりやすく、【ロ】から始めると【演歌】っぽくなりやすいんです。
これ、音の並び方(スケール)による個性なんです。
今回のプレゼンではサラッとしか触れられませんでしたが、気になる方は調べてみてください。
各スケールの個性を知っておくと、曲作りに役立ちますよ。
ちなみに、【ニ】から始めるのはドリアンスケール、【ロ】から始めるのはエオリアンスケールと呼びます。
プレゼンでは時間が足りずに見せられなかった度数対応表を、判治さんがアップしてくれてました。
こちらもチェックしてみてくださいね。
Q&A
Q:DJの人はスケールとか気にしてるのかな?
A:(この質問はCD HATAさんが答えてくれました)
気にする人は気にする。ドリアンとかの名前は知ってるけど、どういう音並びかはパッと出てこない人が多いかも。
Q:マイルスのSo Whatを弾いたけど、ドリアンがどうこうってのはどうやって見つけた?
A:トランペットを31歳で始めたんだけど、なんとなくマイルスを吹いてた。
そこからアナリーゼを始めて、ドリアンに辿り着いた。
度数唱法を覚えると、音が見えてくる。
akimの一言
世の中には【トニックソルファ】という階名(ドレミ~)の歌い方があります。
メロディをドレミ~で歌いたいのに【ド♯】や【シ♭】が出てきて『メロディの譜割的に「ドシャープ」とか歌えない!!』となったことありませんか?
そんなときにトニックソルファを覚えておくと便利だったりします。
基本的なルールは
- 半音上げ(♯)すると母音を i にする
- 半音下げ(♭)すると母音を e にする
- これらのルールに従うと「ソ♯」が「シ」になるので、元からある「シ」を「チ」と発音する
- レの半音下げのみ「ラ」と発音する
です。
日本語の場合、「ラ♭」が元からある「レ」と発音が一緒になっちゃうので、以下のような追加ルールを提唱してるところもあります。
- ラ♯は「イ」と発音
- ラ♭は「エ」と発音
RとLの発音が同じになってしまう日本ならではのルールですね。
一覧表にするとこんな感じ。
元の音 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | チ(シ) |
半音上げ | ディ | リ | × | フィ | シ | イ | × |
半音下げ | × | ラ | メ | × | セ | エ | テ |
この【トニックソルファ】をさらに進化させたのが、判治さんの提唱する【イニサヨゴロナ】。
各音の個性を反映したネーミングになってますからね。
非常に音楽的だと、僕は思います。
情報はこちらから
20min Challenge:Sakura Tsuruta (Ableton Certified Trainer)
20min Challengeっていろんな人がやってるんだけど、実はハードルがなかなか高い。
過去のAMTでも挑戦した方は何名かいるんだけど、その方達もまあまあ苦労してた記憶が…。
でも、今回は精度の高い楽曲が完成。
さすがの一言。
20min Challengeの性質上、トークはあまりなくひたすら制作していったので、その過程を文字起こししてみました。
動画向きのコンテンツだとは思いますが、補足も入れながら進めていこうと思います。
音楽プロデューサー / ライブアクト / DJ / 教育者、そしてアクティビストとして、国内外の電子音楽シーンにおいて、従来のアーティストの枠を超え、多角的な役割を体現している鶴田さくらは、ダークで壮大なリズムと、しなやかで幻想的なメロディーの融合により、リスナーを魅了し、さらなる期待を抱かせるアーティストです。
2019年のデビューシングル「Dystopia」は、BeatportのElectronica/Downtempoカテゴリーのトップ100に躍り出ました。2020年には、EP「Made of Air」を発表し、国内におけるアーティストとしての評価を固め、2022年リリースのLP「C / O」は、世界中のリスナーを惹きつけ、アンビエントやエレクトロニカのシーンで有力な世界的レーベル、Mule Musiqからレコード/デジタルで、2023年に再リリースされた。
鶴田の音楽は、日本だけでなく、世界中のクリエイティブコミュニティでも人々を魅了しており、年々、活動範囲を拡げ、オーディオビジュアルパフォーマンス、サウンドインスタレーション、拡張現実、ファッションショーなどの領域でも活躍。Ableton、資生堂、FENDI、Audio Technica、Amazonなどの世界的なトップブランドから注目され、それぞれのブランドのプロジェクトをより豊かにするサウンドディレクションや音楽を提供している。
アーティスト活動の他にも、次世代の音楽の才能を育てることに深く取り組み、ミャンマー / ヤンゴン拠点のCreative Media Institueにて音楽制作の講師として年間50名以上の生徒を育成する活動を続けている。さらに、国内でも音楽大学や専門学校ではゲスト講師として教鞭を取り、母校であるバークリー音楽大学の協力の元、電子音楽制作とパフォーマンスの授業を入学希望者達に教えている。
また音楽シーンにおけるジェンダー平等の提唱者として、鶴田はBillboard Musicなどの有力なプラットフォームで、女性の権利についての自分の見解を共有してきた。音楽業界で女性の権利や居場所を増やすための努力は、Forbes Japanに評価され、2023年に発売された「世界を救う希望100人」特集号において表紙に抜擢された。
彼女の革新的なアプローチと音楽への情熱は、電子音楽シーンの発展を促進する力として、大きな期待を集めている。
セットアップ
まずはセットアップを確認しましょう。
さくらさん曰く『家のセットアップに近い形』だそうです。
- Macbook
- Push(コントローラーモード、オーディオI.O)
- MIDIキーボード
- スマホアプリ
Challenge開始
まずはスマホアプリでお客さんのクラップをRecします。
このスマホアプリは【Life XLN Audio】というもので、Recした音をスライスしてビートメイク出来るという優れもの。
RecしたクラップをWi-fiでMacに送ります。
クラップをオーディオに書き出して、セッションビューへ移動。
EQ処理の後、Delayを追加しました。
【Fors Tela】というプラグイン音源を使い、MIDIキーボードでフレーズを追加します。
Liveのオーディオエフェクト【Chord】で5度上を追加。
さらにLFOをプラグインにアサインします。
ここでKickが欲しくなったので、PushでKickを追加します。
Pushを使い、フィンガードラムでスネアとHHも追加します。
さらにエレキドラムっぽい音を追加して、EQでLow Cutします。
この音はSpliceで入手したオーディオサンプルのピッチを合わせて、Drum Rackにしたものだそうです。
ここで、さくらさんオススメのプラグイン【SHIFTY】をエレキドラムに追加します。
このプラグインのいいところは『Dryシグナルを再生しつつWetの音を出してくれるところ』とのこと。
ちなみに、こういうプラグインをどこで探すのかという話になったとき『Instagramとかで広告が表示されませんか?』ということでした。
この【SHIFTY】もInstagramで見つけたそうで、気になる方は以下のアカウントにアクセスをば。
話は戻ります。
鍵盤で入れた和っぽいフレーズを不規則にするために4の倍数ではない小節数に調整し、さらにLFOをインストゥルメントにアサインします。
ふたたびスマホアプリの【Life】登場。
お客さんから声の「あ〜」をスマホでサンプリングします。
サンプリングした音をLiveに入れた後、『ちょっとリズムが欲しい』とのことでSimplerの登場です。
(さくらさんはこれが大好きだそうで)
Simplerのスライスモードを使い、先ほどの『あ~』をパーカッション的な音にして曲に追加します。
鍵盤でBass音を追加し、Liveのオーディオエフェクト【Roar】を掛けます。
このBass音源は【Fors Opal】というプラグインの中に入っていた【Gem】という音源だそうです。
さらにPad系も追加します。
CUBE(プラグイン)で音作りし、EQでLow Cutします。
ここからアレンジメントビューにRecして、完成です!
Q&A
Q&Aコーナーですが、質問はプラグインについてのものだったので本文内で補足しました。
akimの一言
これはぜひとも動画で見て欲しいコンテンツです。
流れるような制作フローと、いろいろなプラグインに出会えます。
使っているプラグインが気になったら、このブログに戻ってきて確認してもらえればいいんじゃないかと。
動画はAbleton Meetup TokyoのYouTubeチャンネルで公開されます。
チャンネル登録しておくことをおススメします。
情報はこちらから
XLII「Ableton Live効率化マスタークラス」
膨大なスタジオワークで培った時間短縮のためのハック的なお話です。
Liveもバージョンアップのたびにショートカットなども追加され、Keyマッピングを活用すれば自分なりのショートカットも追加出来るわけですが、それだけではXLIIさんは足りないようで。
時間に追われる制作現場ならではのTips満載です。
あ、XLIIの読みは『シリー』だそうです。
XLIIは日本を拠点に活動するアーティスト / プロデューサーで、その洗練されたサウンドは世界中で高く評価されている。20カ国以上でパフォーマンスを行い、ULTRA JAPANやULTRA KOREA、ヨーロッパやアジアの様々なフェスやクラブで観客を魅了してきたインディペンデントアーティスト。
2017年以降、プロデューサーとしても活躍し、MINMI、木梨憲武、上地雄輔、大門弥生、DOZAN11 (元三木道三)、Watson(リミックス)、Charlu、SHINGO☆西成、あっこゴリラ、APOLLOなど、幅広いジャンルのアーティストに楽曲を提供し、独自のスタイルとキャッチーなサウンドで注目を集めている。2021年以降、LDH所属の【PKCZ】とのプロデュースを開始し、シングルやリミックスを次々とリリース。
さらに、Beats by Dre / Apple、TOYOTA、Red Bull、Jeep、東宝、SixPad、Anytime Fitness、G-Shock、Burton、Hulu、Netflixなど、多くのブランドの映画音楽やCMに楽曲を提供。シンガポールのダンスホールクイーンMAS1Aとのコラボ曲「TIME WASTIN」は、Netflixのドラマ『WU ASSASSINS』に使用された。2019年には人気アニメ『ビジネス・フィッシュ』のテーマソングを、植木等の「スーダラ節」の公式リミックスとして制作。また、MINMIが歌う「WINNER」は横浜F・マリノスの公式応援ソングに採用された。
2021年には、楽曲提供をしたイギリスのコメディ映画『People Just Do Nothing』が公開。さらに2022年には、アカデミー賞を受賞した映画『スラムドッグ$ミリオネア』の舞台版オリジナルスコアを手がけた。
2024年1月には、ロサンゼルスで行われる世界最大の音楽機材コンファレンス「NAMM SHOW 2024」にスピーカーとして出演。同年3月には、アメリカ・テキサス州オースティンで開催される世界最大のミュージックカンファレンス「SXSW」に2年連続で参加。アメリカやヨーロッパで話題になっている新人Carpetmanのショーをプロデュースし、4つのステージで共演した。また、2024年秋には木梨憲武のアルバムに2曲を提供した。
多彩な活動を見せるXLIIの今後の動きにも目が離せない!
セットアップ
XLIIさんのセットアップは
- Macbook
- Move
- Stream Deck
です。
Stream Deckとは、マウスやPCキーボードだけでは煩雑になりやすい操作を簡単にしてくれるコントローラーです。
基本コンセプト
まず【効率化】のための基本コンセプトから。
基本コンセプトは【繰り返すステップをなるべく減らす】というシンプルなもの。
具体的には「これ、前にもやったな」と思ったら、それを減らしていくということですね。
たとえばEQ Eight。
XLIIさんはLow Cutの状態で使うことが多いそうで、Low Cutした状態のものをデフォルト設定としてプリセット保存しています。
プリセット保存の方法を補足しておきます。
EQ EightをLow Cutしたら、デバイスタイトルバー(EQ Eightと書かれている部分)を右クリックし【デフォルトプリセットとして保存】を選択します。
これで、次に使うときからデフォルトのEQ EightをLow Cutした状態から使い始めることが出来ます。
XLIIさんは普段から【Liveの中で不満があったら、どこかで時間をとってそれを解決する】ということをしているそうです。
さらに【マウスはなるべく使わず、PCキーボードのショートカットを活用する】とのこと。
テンプレート保存
【Live Setをテンプレートで保存する】を使いましょう。
このとき【普段の制作の中で培ったグループ化やエフェクトやトラックもテンプレート化】しておくのがXLIIさん流。
『このテンプレートを音で埋めていく感じ』で音楽制作するそうです。
さらに【アレンジメントビューに最初から流れだけをMIDIクリップにしておく】という技も披露してくれました。
下の画像のトラック1、色分けされたMIDIクリップが入ってます。
これが曲の流れを示しているんですね。
とはいえ、すべての曲が同じ構成というわけではないですよね。
そんなときのために【セッションビューに構成用の空のMIDIクリップを作っておいて、構成を変えたい時はそれを使う】とのこと。
トラックの用意
音に関わる部分なので『Mainトラックにはなるべくエフェクトを入れたくない』というのがXLIIさん流。
『Utilityトラックを作って、そこに必要なエフェクトを入れておく』とのこと。
他には【レファレンストラック】を作成し、【今作ってる曲が前のバージョンより良くなってるか】の確認に使うとのこと。
さらには【Noise用トラック】も作成し、ホワイトノイズなどは最初から入れておくという技も披露してくれました。
さらにさらに、トラックは入れる音によって色を決めておくのがXLIIさん流。
『ここはDrumだな。ここはBassだな』と視認性を上げるのは、制作時間短縮に有効ですから。
グループトラックのネーミングにも技があります。
Liveではオーディオエクスポート時にいくつか方法を選べます。
『選択したトラックのみ』とか『全トラックをパラで』とかですね。
が、グループ化したトラックをステムとして書き出す方法が、まだ実装されてないんです。
対策として、XLIIさんは【グループトラックの名前を > で始める】そうです。
たとえば【>Perc】などですね。
こうしておけば、オーディオエクスポート時にグループトラックのデータには > が付くのでソート(並び替え)が楽になるという、まさに実践的なTips。
アレンジメントビューでの操作
【タイムの複製】と【タイムの削除】を活用するそうなので、ショートカットを覚えておきましょう。
- タイムの複製【Win:Ctrl Shift D / Mac:Cmd Shift D】…アレンジメントビューで選択した部分を、全トラック分複製する
- タイムの削除【Win:Ctrl Shift Del / Mac:Cmd Shift Del】…アレンジメントビューで選択した部分を、全トラック分削除する
タイムの複製等で曲構成が変わった場合は、構成用の空MIDIクリップのリネームをしておくと後からわかりやすいですね。
頭から曲を聴くこと、ありますよね?
そんなとき、気になった箇所に曲を聴きながらロケータを打っていくこと、あると思います。
XLIIさんはKeyマッピングで【 / 】をロケータセット用のショートカットに登録しているそうです。
Keyマッピングって便利な機能なんですが、意外に知られてないようなので補足しておきます。
Liveの画面右上にある【Key】というボタンをクリックしてKeyマッピングモードに入ります。
ここではロケータセット用のショートカットを登録するので、該当する【Set】ボタンをクリックします。
XLIIさんにならって / を登録するため、PCキーボードの / を押します。
【Key】ボタンをクリックして、Keyマッピングモードを抜けます。
これで、ロケータを打ちたいところで / を押せば、ロケータがセットされます。
下の画像では【N/】と表示されていますが、これはテンキーについている / を登録したためです。
テンキー上の数字や記号と、PCキーボード上の数字や記号は別物として登録されるのでご注意をば。
オーディオエクスポート時にはファイル名の入力が促されますが、XLIIさんは【スペースを入れて書き出す】そうで、徹底した効率化ですねぇ。
(ちなみにWindowsだとスペースだけではエクスポート出来ないみたいです)
まだまだ効率化
XLIIさんが作った曲には『XLIIプロダクション!』と言う声を入れるので、それをユーザーライブラリに保存しておきます。
保存方法は、トラックをユーザーライブラリにドラッグ&ドロップすればOK。
VoのRec時は「Verse」「Hook」などのフォルダをユーザーライブラリに作っておいて、使いたい時はドラッグ&ドロップで引っ張り出せるようにしておきます。
愛用デバイス
プラグインを「開く」「閉じる」を効率化するため【Plugin Closer】。
クリップのゲインを調整するときには【Clip Gain】。
XLIIさんは、Clip Gainの機能もKeyマッピング済だそうです。
ロケータを管理する【Locator Manager】。
リサンプリング(というかバウンス)に威力を発揮する【Bounce in Place】。
と、わずか20分間にいったいいくつのTipsを教えてくれたのか…と数えたくなるほどのプレゼンが終了です。
Q&A
Q:テンプレートは1つだけなのか、複数あるのか?
A:構成はメモとして入れてるので、決して守ってるわけではない
Q:1週間で作ろうと思ったら、何曲作れる?
A:3時間で2曲はやったことある。構成は考えてるからある程度は速い。完成させるまでとなると…2〜3曲。
Q:ロケータのショートカットは?
A:自分でKeyマッピングした
Q:ショートカットを覚えるのにかかった時間は?
A:かかった時間は覚えてない。Live 12になってからめちゃくちゃ増えたが、新しく増えた時は一覧表などをみて覚える。
ただし、制作中はオススメしない。作業が滞るから
Q:Stream Deckとショートカットキーの使い分けは?
A:PCキーボードで出来ることはStream Deckにはさせない。PCキーボードで手間がかかることをStream Deckで行う。
例として、プラグインのVST3を探す時に「Cmd F VST3」と入れておくと探しやすくなる
Q:時間を節約するツールを見つけるのに、どれくらい時間を掛けますか?
A:Liveの動画を作る時に探す、電車の中で探す、TikTokで探す、友達からの紹介など。特に時間を掛けるのではなく、隙間時間の利用
akimの一言
いやはや、第一線で活躍してる方のいわゆる【タイパ】への意識ってスゴイですね。
僕もAbleton認定トレーナーとしてLiveに触れてますが、気付いてなかったTipsがいくつもありました。
もちろん、すべてがそのまま自分の制作に役立つかどうかは別の話です。
『テンプレートを使うと、作る曲がそれに縛られちゃうんだよね』という理由から、テンプレートを使わない作曲家も世の中にはいらっしゃいますから。
とはいえ、知っておいて損はないTipsが満載でしたし、自分の制作フローに役立つTipsはどんどん取り入れていくべきです。
とりあえず、僕は
- 構成のための空のMIDIクリップ
- グループトラック名を>から始める
を取り入れました。
情報はこちらから
まとめ
毎度のことながら、AMTのプレゼンは濃い!濃すぎる!!
正直言って、レポブログを書くのもけっこう大変ですwww
が、その代わりに役立つTipsや、気の合う仲間とも出会えてしまうのです。
そもそも、僕がAMTに足を運び始めたのはAbleton認定トレーナーになる前ですからね。
AMTで得た知識や仲間の後押しがあったことでAbleton認定トレーナーになれたと言っても過言ではないかと。
そんなAMT、次回も決定しています。
ワークショップのお知らせ
『AMTがすごく役立ちそうなのはわかるんだけど、自分にはレベルが高くて…』という声があることを知りました。
そこで、AMTの立ち上げにも関わったRyoさんの協力を得て、藤沢駅近くにRyoさんが開いたカフェ【THE REF.】でakimが不定期ながらワークショップを開いています。
コンセプトは『自分の曲をもっと良くするために自分で調べられる、あるいは上級者からの提案を理解することが出来る中級者にする』です。
つまり、超初心者大歓迎なのです。
興味ある方、以下のページをぜひともお読みください。
レッスンという選択肢
DAWを使っての音楽制作、もっと楽しみませんか?
楽しむためのちょっとしたTips、レッスンしてます。
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